2011年8月20日土曜日

映画 『ちいさな哲学者たち』




このタイトルを聞いて
どんな映画を想像しますか?






そもそも「哲学」って、
私の中でわかっているつもりになっていた言葉だけど、
実際に説明しろって言われたら、
できない事に気がついたので辞書で調べてみました。

辞書によると「哲学」とは、
世界・人生などの根本原理を追求する学問。

う~ん。
まだ難しい。

そのなんとも難しい「哲学」の授業を
フランスの幼稚園に通う3歳~4歳の園児が2年間受けた模様が
ドキュメンタリーで綴られた作品がこの「ちいさな哲学者たち」なんです。

「哲学」・・・言葉では難しいけど、
実際に子どもたちが授業の中で行っていることは
先生からの質問に対して考えた事や自分の意見を述べ、
みんなで話しあっていくというもので、
話しあっている内容は決して難しくはなく、
人としてとっても大切な事。

例えば、「愛ってなあに?」「恋をしたらどうやって人を愛するの?」と
先生が子ども達に問いかけます。

すると「おなかの中がくすぐったくなるんだよ」「赤くなるんだ」生徒たちが回答。

「どうして赤くなるの?」と先生。

生徒たちから「おなかの中に心があるから」と答えがかえってくる。

こういったように先生は、「自由ってどういう事だと思う?」とか「命とは?」
「死とは?」「人によって肌の色が違うのは?」などなど
さまざまな事について子どもたちに質問を投げかけ、
彼らの考えを引き出していくんです。

この授業が始まった当初は、考える事が嫌になったり、
途中で寝てしまったりする子もいたんですが、
子ども達は、次第に考えて発言する事が楽しくなって、
大人顔負けの立派な意見を言うようになるんです。

そんな彼らの目のキラキラ度っていったら・・・

彼らの発言する姿をみて私は、何度、ドキっとしたことか。
それは、私自身、自分の考えを中々言えないことに気が付いたからです。

「○○が好き」や映画をみて○○だと思ったとか
自分の好みや感想は言えても意見となると難しいです。

「哲学」の授業の中で先生が子どもたちに投げかけた質問に
彼らは何のためらいもなく、すぐさま自分の考えを発言してたけど、
もし私が同じ事を聞かれても答えられないと思う。

意見を言うのが難しいのではなく、考える力がない。。。
っていうか考える力をストップさせてるのかも。

人の気持ち、仕事の事、遊びの事etc・・・
日々いろんな事を考えて生活しているけど、
私は、物事の本質を考えることから逃げてたかも?
「なぜ?」「どうして?」という追求も足りなかったと思うし・・・

このドキュメンタリーに登場する子どもたちの発言する様子から
学ぶこと、思う事、反省する事が多いです。

物事についてもっと深く考えて追及して
それを意見として発言し合う機会が増えれば、
その中からきっと新しい何かが生まれる。

大きな話だけど、そういう人や機会が増えれば
世の中ももっともっと変わるのではと
明るい未来がみえる作品でもありました。

「ちいさな哲学者たち」に負けないように
私達も「おおきな哲学者たち」として頑張りましょう!

2011年8月17日水曜日

映画 『モールス』


ここ日本で8月5日から公開されている「モールス」は、
「ここ20年のアメリカで№1スリラー。
とにかく劇場へ駆けこめ、
観終わった後にお礼を言ってもらえばいい」と
「グリーンマイル」の作者、
スティーヴン・キングに評された作品です。




観た後に、この言葉の意味がわかった人は少なくないと思うし、
これからもっと大勢の人が彼の言葉に賛同すると思います。

「スリラー」っていうと怖い、ゾクっとする、身の毛もよだつとかのイメージありません?

でも私は、この映画を観て、恐怖ではなく、
胸が張り裂けるようなせつなさと
純粋に人を愛する気持ちを同時に味わいました。

この映画で感じた事を言葉で表すのが非常に難しいのですが、
究極のせつなさからきた恐怖と表現するのが一番近いのかな。

この映画の主人公は、アビーという少女なんですが、
実はアビーは単なる少女ではなかった所が
この物語がせつない理由の一つなんです。

お母さんと2人きりで暮らしている12歳の少年、オーウェンは、
学校でいじめられている事を病気がちなお母さんに言えずにいました。

そんなある日、オーウェンの家の隣に彼と同じ歳ぐらいの女の子が越してきます。

オーウェンがアパートの中庭で一人寂しく遊んでいたところ、
突然、隣の家に越してきた少女 アビーが現れるんです。



初対面でアビーはオーウェンに
「わたしたち友達にはなれない」というものの、
彼の辛い気持ちを救ってくれたのはアビーで、
次第に二人は打ち解けあっていくのです。


オーウェンの部屋から壁越しに度々聞こえてくるアビーの部屋からのどなり声に
「アビーに何かよくない事がおこっているのでは?」と心配したオーウェンは、
壁ごしにモールス信号を送りあう事をアビーに提案し、
二人は、モールス信号を通してますます絆を深めていくんです。

その絆はいつのまにか恋に変化していたのですが、
ある日、オーウェンはアビーの正体を知ってしまうのです。

どんな時も自分を救ってくれる、守ってくれる、
自分を好きでいてくれる大切な人なのに、
アビーがいると多くの人が傷ついていく・・・

アビーの事が大好きだからこのままここで一緒にいたいけど、
このままでは絶対いけない、どうしたらいいのか?

オーウェンは悩み苦しんでいきます。

もし、私がオーウェンの立場だったら、
若干12歳だし、悪夢でもみていたような気持ちで
何もかもすべて忘れるかもしれない。

だからこそ、この作品のラストは胸が痛いです。


この12歳、すごすぎるぞ!!


最後の電車での中でのシーン、彼の姿はものすごくりりしい!!

純愛とせつなさが混じった映画、
なんとも言葉で言い表せないような結末は、ぜひ劇場で。






2011年8月4日木曜日

映画 『あなたの初恋探します』





この映画のタイトルを初めて聞いた時、
「初恋」という言葉がすごく残った。





私の場合、保育園の年長か小学校1年生の時だったか、
同級生の男の子の事を「かっこいい」と思ったのが初恋。

でも、誰かを好きになって、その人の言動に喜んだり、悲しんだり、
芸能人以外の誰かに対して、胸がキュンキュンするのを
初めて味わったのは高校生の時だったけどね。

当時は、とても純粋だったなぁ。

でも、大人になってからは、相手の言葉の裏を勝手に読んだり、
下手にかけひきしたりして中々上手くいきません(苦笑)

この映画を観て、純粋に誰かを想っていた頃をちょっと思い出しました。


この映画の主人公のアラサー女性 ジウは、
ミュージカルの舞台監督をしていて、
日々の仕事に追われて恋愛から遠ざかっているんです。

父親がすすめてきたお見合い相手のパイロットの男性も悪くなかったけど、
何となく気乗りしなくて断ってしまったり。。

そんな彼女を見るに見かねた父親は、
彼女が恋愛しないのは、初恋の人が忘れられないからではないかと
ある手がかりから憶測するんです。

時を同じくして、ギジュンという男性が「初恋探し株式会社」という
依頼者の初恋の人を探す会社を立ち上げます。

ふとした事がきっかけで、ジウの父親がその会社の存在を知り、
ジウの初恋の人を探すようにギジュンに依頼しに行くんです。

「初恋探し株式会社」という会社に
自分の忘れられない人を探してもらうように
親が頼んでいたら、どうします?

もし私だったら、
「そんなの勝手に依頼されても困る、勝手なことしないで!」
って親に怒って、んでもって、
「人の恋愛に勝手に首、つっこむな!」と、
親に依頼されて探しているギジュンにやつあたりするかな?

ジウもいろいろ彼女なりに想う事があって、
ギジュンに感じ悪く接するわけですが、
傍からみているとその姿がすごいキュートなんです。

ジウとギジュンの二人は一緒に
ジウの初恋の人を探しにあちこち旅をするんですが、
二人の会話、様子、すべてが笑えます。

漫才のコンビみたい。

まさに珍道中。
ジウの初恋の人を探す旅が
ジウとギジュン、それぞれの自分探しの旅にもなっていきます。

ギジュンも人生について悩んでいたので、
ギジュンの中にあったいろんなもやもやが溶けていくんです。


今の自分を変えたいという気持ちはどこかにあっても、
自分が思い込んでいた事や
頑固に貫いていた思いを変えるのって難しいし、
もしかしたら一生変えられないかもしれないと思っていたけど、
この映画をみて、
誰かの力が加わることで変われるかもって自信がわいてきたのでした。

私も素敵な出会いによって、純粋だったあの頃にもどれるかもね~。

あくまでも他力本願だけど(笑)