三浦しをんさんの小説
「まほろ駅前 多田便利軒」を映画化したこの作品は、
三浦さんが実際に住んでいた東京の町田市がモデル。
東京の郊外 「まほろ市」に住んで、
便利屋を営んでいる多田啓介が主人公です。
ある日、多田啓介(瑛太)が中学の同級生
行天春彦(松田龍平)にバッタリ出会うのですが、
中学時代は、一言も口を聞かなかった行天が
よくしゃべるやつに変わっていた事に多田は驚きつつも、
三十路でバツイチという共通点もあって
性格が全く違う二人はいつのまにか共同生活を始めていくんです。
この映画は二人がともに暮らした1年間が描かれています。
多田は、過去に起ったある出来事で心に傷を負って
なぜ、多くの人と関わらなければいけない
便利屋をやっているのか分からないぐらい
なるべく人と関わらないように生きていた。
行天と出会った時も、なるべく関わらないようにしていた多田が
行天と一緒に仕事をするようになって
依頼者の子どもを家から塾まで送ったり、
お客さんからから頼まれた事を便利屋として二人でこなしていくうちに、
二人でいる楽しさ、心地よさを感じたんじゃないかな。
脳天気でな~んにも考えてないようにみえる行天も
自分と同じように心に傷を負っている事を知った多田は、
思い悩んでいるのは自分だけじゃない
みんないろいろあって生きてるんだって、
今までと違う感情をもつようになった。
多田は、何とか明日に向かって歩けるように、走れるように、
誰かに必要とされる事、誰かの希望になる事を
彼なりに探していたんだと思います。
フランダースの犬の最終回のDVDを観て泣いてしまったり、
ストーカーに付きまとわれている女性を命がけで守ったりetc・・・
そんな行天を間近でみて、多田は、
彼が今一番やらなければいけない事を見つけられたのでは?
バツイチ男2人の何気ない日常が描かれる中で彼らの会話には、
人の本音の部分としてすごく共感するところがありました。
この映画を観て何か考えさせられるとか学ぶとか難しいことではなく、
忘れられない過去とちゃんと向き合う事で前に進める事、
希望がもてる事を証明してくれています。
多田と行天の漫才のような掛け合いや
ヒトクセもフタクセもあるけど
人間味あふれる便利屋のお客さん達の存在は
気分をほっこりさせてくれます。
彼らの存在は、世の中、みんないろいろ抱えて生きてるんだぞ。
お前もがんばれよって言ってくれているようにも思えました。
この映画には大森たつし監督のお父さま
麿 赤兒さんが便利屋の常連客として、
そして弟さんの大森南朋さんは、乳飲み子をおんぶしながら
お弁当屋を切り盛りしている役で登場してます。
これがまた面白いんだ~。
あと、何故かコロンビア人の娼婦に扮している
鈴木杏ちゃんの姿にも驚かされました。
そして、
松田龍平さんと瑛太さんから飛び出した○○○!!
松田龍平さんのルーツを知っている方にはツボです。
試写会では、そのシーンでみんな大爆笑。
気になった方は観てみて下さい。